骨董品

渡辺崋山筆「人物図」および「山水図」手控帖3

冨田鋼一郎
H23.5 x W16.5 (cm)

朱文方印「登」

扇面には、「倣董北苑 筆法」とある。漢画の模写に励んだ証である。
木の枝に荷物を担ぐ中年の男。衣文線は、謹直な線を用いている。鳥が二羽飛んでいる。

董源:宋初の画家。南唐の中主に仕え、北苑副使となったため、董北苑と称された。

崋山はどんな時でも懐に手控え帖を手放さなかった。眼前の光景、人物、動植物、書物など目に留まったもの、興をもようした時には、直ちに取り出して手早く書き留めた。筆をとることは、心に刻む行為であった。

スケッチする時、崋山は縁取りをすることが多かった。縁取りは、これから描くぞと気分を整える意味があったのだろう。

今回、手控え帖が崩されたまくり状態の6点を順次掲載する。
いくつかは糸によって綴じられていた跡が残っている。

渡辺崋山(わたなべかざん1793-1841)
スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました