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冨田鋼一郎
有秋小春
庭の蝶子が這へばとびはへばとぶ
家も一茶 人型刻
文政年間の作。眞蹟を木片に刻したもの。50才を過ぎた晩婚の一茶が、初めて子をもった喜びが感じられる句である。
ようやく首が定まり、自分の力で這い這いができるようになった可愛い我が子である。家の中で子どもが這い這いをするたびに、庭の蝶々もそれを見てうれしそうに舞うように飛んでいる。
藁ぶき家の中には赤ん坊が這う様子だろうか。ささやかな幸せを謳歌した。
もちろん作者の視線は、庭の蝶ではなく、わが子に注がれている。
江戸後期の俳人。俗語や方言まじりの生活感情に根ざす句を多く遺した。名は信之。通称は弥太郎。別号に俳諧寺寺など。句文集に「おらが春」など。