読書逍遥第211回 『韓(から)のくに紀行』街道をゆく2 (その2) 司馬遼太郎
冨田鋼一郎
有秋小春
副題 生命と医療の本質を探る
原題 The Song of the Cell
An Exploration of Medicine and the New Human
「自分たちが何を知らないのかすら、私たちにはわかっていない」
今の私にこれほど強烈に響く言葉を知らない。心に留めて、「細胞の歌」にもっと耳を傾けていこう
そもそも「意識」はどのような物理的メカニズムで生まれるのか?
生命の仕組みのみならず、地球物理、原子力、、、私たちはまだ何を知らないかを知らないことだらけ
さらに、気候変動をもたらす地球の複雑なメカニズムや、いまだに高濃度放射能デブリに手をつけることができないでいることを目の当たりにしている
☆☆☆
(下巻カバー見開き)
新型コロナウィルスによるパンデミックは、「細胞」についてわかったつもりになっていた人類の知識に、いかにまだ多くの欠落があるかを浮き彫りにした
「自分たちが何を知らないのかすら、私たちにはわかっていない」のだ
私たちの体はいかにして恒常性とバランスを保っているのか?
がん細胞が増殖を欲しいままにする臓器と、決して寄せ付けない器官との違いはどこにあるのか?
結局のところ、私たちの細胞は、自己とそれ以外とをどのようにして識別しているのか?
現在の医学を持ってしても完全には解明しきれていないこれらの疑問に答えるためには、細胞同士の会話や細胞が発するメッセージ、いわば「細胞の歌」にもっと耳を傾ける必要がある
細胞工学や人工臓器、ゲノム編集などの技術で「ニューヒューマン」を誕生させることが可能になってきた今だからこそ改めて読むべき、細胞を巡る発見と探求の年代期