季節はめぐる
冨田鋼一郎
有秋小春
昔、小林勇さんの人物評伝、エッセイを読んで、彼の個性に圧倒されてきた。
学んだことは、自分の思い、考えを、はっきりと言うこと。読後爽やかだったし、とても羨ましいものに映った。
今、この歳になり、まわりを必要以上に気にして生きるより、自分の気持ちに正直に過ごすことが大切だと思うようになった。
これは小林勇さんから学んできたことだ。
最初に出会ったのは、『惜櫟荘主人 一つの岩波茂雄伝』。表紙の書は、岩波茂雄による「白鶴高飛不逐群」。自分の理想とする生き方を白鶴に重ねた。
小林勇にとって、岩波茂雄は職場の社主であり、同時に義理の父にあたる。強烈な個性と個性のぶつかり合い。謦咳に接した人でなければとても書けない評伝だが、あまりに近い存在だとかえって書けなくなるものだが、難なく処理している。
もう一度読み返してみる。
[アセビの実]