思い出のルノアール「玉ねぎ」スターリング・クラーク美術館
冨田鋼一郎
有秋小春
蕪村の梅の句は『蕪村全集』によれば80余ある。
梅の木もいくつか描いて残してくれた。
今回はその中から若書きの絹本淡彩の部分。
渓流が画面を大きく湾曲しながら流れ下る。丁寧に描き込んだ渓流沿いにある竹林と二もとの梅。淡紅色に染まった花が的皪と光る。東屋には清香が漂ってくる。
梅の根元に注目。地面から浮き出た根っ子が鷲の爪のように土地を鷲掴みしている。
「命が凝縮」している根の強い生命力!このような描き方は蕪村の独壇場で、後に人物の足指にも見られるようになる。
野路(のぢ)の梅白くも赤くもあらぬ哉
こちの梅も隣のうめも咲きにけり
二もとのむめに遅速(ちそく)を愛すかな
水にちりて花なくなりぬ岸の梅
白梅や誰(た)がむかしより垣の外