ドイツ銀貨5マルク古銭プルーフヨハネス・グーテンベルク没後500年記念
冨田鋼一郎
有秋小春
月渓書 印
月渓による「納涼図」である。
薄墨で枠取りし、淡彩を施した86人。厳しい暑さが峠を越して、ようやく夜の帳に包まれるころになって、家々から出て外へ出て来る。
踊りをするもの、談笑しながら涼む坊主・尼、付き人のいる力士、衣類を包んだ風呂敷を背中に担ぐ町民・下級武士・つえを持つ盲い、天秤棒や籠に野菜を入れた行商人・飛脚・菅笠の通りすがりの旅人などなど。
屈託のない顔、顔、顔は、師匠蕪村を彷彿とさせる月渓ならではの筆力。
当時、小田原提灯、ホオヅキ提灯など、提灯は必需品だった。人々の表情はあどけなく個性的で、天明寛政時代のみやこの太平が画面溢れんばかりである。
それにしても男性ばかり、女性がわずか数名しか登場しないのはどうしたことか。
江戸中期の絵師。号、月渓。