掛軸

松村呉春筆紙本「納涼図」大幅

冨田鋼一郎
H131.1 x W44.8 (cm)

月渓書 印

月渓による「納涼図」である。
薄墨で枠取りし、淡彩を施した86人。厳しい暑さが峠を越して、ようやく夜の帳に包まれるころになって、家々から出て外へ出て来る。
踊りをするもの、談笑しながら涼む坊主・尼、付き人のいる力士、衣類を包んだ風呂敷を背中に担ぐ町民・下級武士・つえを持つ盲い、天秤棒や籠に野菜を入れた行商人・飛脚・菅笠の通りすがりの旅人などなど。
屈託のない顔、顔、顔は、師匠蕪村を彷彿とさせる月渓ならではの筆力。
当時、小田原提灯、ホオヅキ提灯など、提灯は必需品だった。人々の表情はあどけなく個性的で、天明寛政時代のみやこの太平が画面溢れんばかりである。

それにしても男性ばかり、女性がわずか数名しか登場しないのはどうしたことか。

松村呉春(まつむら ごしゅん1752-1811)

江戸中期の絵師。号、月渓。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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