渡辺崋山 俳画「壬生念仏(みぶねぶつ)図」蕪村句画賛
冨田鋼一郎
有秋小春
まどかなる残月ありてあけわたる
大青空に淡く沈むも 比庵 八十三
清水比庵は、日光時代に短歌誌「二荒」を主宰し、これはのちに「下野短歌」に発展して、さらに全国的な短歌結社「窓日(そうじつ)の隆盛へと繋がっていきます。書と画はほぼ独学ながら、若くして非凡な才能を示し、特に昭和17年以後は日本画家川合玉堂との交流をとおして、独自な芸境を形成します。そのなかでもとりわけ米寿以後の作品は、富岡鉄斎に例えられるほどに、豊潤で、比類のない楽しさと優しさを備えています。作品の多くは大胆な絵のまわりに、自詠の短歌が奔放な書体で記され、歌・書・画のいずれが主であり従であるという関係ではなく、三位一体となった独特な世界です。
引用:平成13年展覧会図録「清水比庵―毎日歌境」
歌人。本名清水秀。号は他に匕舟、比舟、比安。詩・書・画の三芸に秀で、今良寛といわれる。