小林勇筆「草木の花々」扇子7点
冨田鋼一郎
有秋小春
志賀の花湖の水それながら
山素堂
芭蕉が亡くなったのは元禄7年(1694)。素堂のこの俳句は没後7年経った元禄14年(1701)の作。
芭蕉翁を追慕すること、月日が経っても変わらない。
翁のゆかりの深い琵琶湖南西、志賀の地で桜や琵琶湖を眺めていると、その変わらない自然の景色とともに翁の在りし日々がありありと思いだされてくることよ。
素堂の芭蕉を慕う思いは、他の蕉門に負けず劣らずである。
浪華芦陰舎大魯閲「山口素堂句集」以下のかたちにて所収
「芭蕉居士の旧跡を訪ふ
志賀の花湖の水其ながら 素堂」
『そこの花』元禄十四年(1701)には、前書き「芭蕉の塚に詣して」、『きれぎれ』には、「芭蕉塚にて」、
そして、『渡鳥集』には、「芭蕉居士の奮跡を訪」として所収。
和歌・漢詩・俳諧作者。