冨田鋼一郎
悪きことさるの歳をば送りては善きこととりの歳をむかふる
比庵 印
良くない思い出は、申の歳の暮れとともに流し去ってしまおう。明日からは、酉の年を迎えるのだ。
新たな気持ちで良きことを取り込む年となるよう祈るばかりであることよ。「申」は「去る」、「酉」は「取り」を掛ける。
作者は、可愛いスズメをたくさん描いているが、このにわとりは実にユーモラスである。
比庵 1969年(昭和44)87歳の元旦の詠。
歌人、書家、画家、政治家。本名清水秀。晩年は「今良寛」と呼ばれた。
ABOUT ME
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。
各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。
著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)