掛軸

松村呉春筆山水画「漁村晩景」幅

冨田鋼一郎
H126.5 x W28.3 (cm)

 漁村晩景
   呉春写 印

呉春のこの書体と山肌や岩の皺の描き方は、師蕪村を彷彿とさせる。しかしながら、師の画のような気品と瑞々しさや高貴さは窺うことができない。どこか俗っぽさを感じさせ、近江蕪村とよばれた横井金谷の雰囲気に近いものがある。

「知者は水にあそぶ。仁者は山にたのしむ」(論語)

古代中国では、水や山を世俗から超越したものとして尊重する風があった。これを強めたのが、道教の神仙思想である。山に入って水と遊び、永遠の命を獲得する生き方を人の理想とする。

山水画という美術様式が確立するのは、六朝・唐の時代で、五代・宋になり、多くの巨匠が現れる。これは日本には鎌倉時代後期に禅宗とともに入り、やまと絵にたいして漢画とよばれた。室町時代以降、周文、雪舟らがあらわれ、日本の山水画が成立したといえる。(諏訪春雄『日本人と遠近法』による)

松村呉春(まつむら ごしゅん1752-1811)

江戸中期の画家。尾張の人。号月渓。

横井金谷(1761-1832)

江戸後期の浄土宗の僧侶・絵仏師・文人画家。近江国の生まれ。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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