骨董品

清水比庵筆葉書「あたたかき」その1

冨田鋼一郎

あたゝかき日々のつゞきて柿あおきわが幸福なる旅を終りぬ 比庵 印

十一月十三日夕

楽しかった旅の余情をつたえる葉書。ススキの画を添えて、自歌を載せた。絵入りの葉書、もはや電子メールでは味わうことのできない心のこもったものである。

葉書宛名側には次の文章がある。

今回はまことにまことに難有き幸福な旅をいたしました。その余韻を長く引きて帰京しても温いものに包まれたやうな感じ也。野水会は予定通り二十三日より、二十八日迄高島屋で開催いたします。小熊さんの住所がわからぬ。

清水比庵(しみず ひあん1883-1975)

歌人。本名清水秀。号は他に匕舟、比舟、比安。詩・書・画の三芸に秀で、今良寛といわれる。

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました