冨田鋼一郎
山里はまんざい遅し梅の花
ひとつ脱いで後ろに負ぬ更衣
両の手に桃と桜や草の餅
風流のはじめや奥の田植歌
粽結ふかた手にはさむ額髪
石の香や夏草赤く露暑し
数ならぬ身とな思ひそ魂祭
砧打て我にきかせよ坊が妻
茸がりやあぶない事に夕時雨
ゑびすこ講酢売に袴着せにけり
初雪や幸庵にまかりある
有明も三十日にちかし餅の音
遠州馬山?写意 印 印
芭蕉の有名な句12句を用いて、十二か月の年中行事を画で表現したもの。作者の人物描写は、適格で生き生きとして技量の優れた作者だと思われるが、残念ながら不詳である。
ABOUT ME
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。
各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。
著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)