「美しい」と、あなたがためらわず言えるもの
冨田鋼一郎
有秋小春
都内図書館の音訳ボランティアの方々から拙著『四明から蕪村へ』の音訳が完了したと連絡をいただいた。
視覚障害のある図書館利用者の方から図書館に、図書館所蔵本の音訳化の要望があり、音訳を行ったそうだ。
こういう音訳作業があることを初めて知った。点字ボランティアがいることは知っていた。
どのようなご苦労があるのか、ボランティアの方にうかがうと、読みの難しい漢字(特に人名)にはルビをふっておいて欲しいとのこと。
筆者としてそこまで気をつけていなかった。
そういえば、多くの絵画作品は写真を掲載して事足れりとしてきた。しかし、写真を見ることができない読者も念頭に、言葉を尽くすことにも気を配らなければいけなかった。
見えないところで人々をつなげてくださっている方々がいる!
あたたかな思いやりの連鎖がここにもあった。
年末に嬉しい知らせだった。
☆☆☆
音訳ボランティアとは、視覚に障害のある方のために、墨字(活字)で書かれている書籍や雑誌、広報誌、新聞などの内容を“音声にして伝える”ボランティアです。
同じような活動に「朗読」がありますが、「音訳」と「朗読」とは目的が違います。「朗読」は、読み手の解釈で感情を込めて読んだり内容を読み変えたりして、作品として仕上がったものを聞き手が鑑賞します。
それに対し「音訳」は、聞き手(視覚障害者)が情報を得るために利用するものなので、内容が正しく伝わるように、書いてあることを書いてある通りに読まなければなりません。そのため、音訳ボランティアは視覚に障害のある方の「目の代わり」となって、情報を声で伝えることが大切になります。
(社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合HPより)