日々思うこと

スタバで出会った学生

冨田鋼一郎

珍しくスタバで出会った学生と話し込んだ。

行きつけのスタバでよくこの青年と出会う。フレンドリーで目が合うと「おはよう」と声をかける仲になった。

今日は彼がアルフォンス・ミュシャの画集を熱心に見ながら、ノートに細かく描き込んでいるのを見かけた。

大テープルの向かい側に座り、「ミュシャが好きなの?」と声をかけてみた。キラキラした目て「好きです!」と言う。

これがきっかけで、1時間ほど話し込んでしまった。
彼は観光学部に通う大学1年生。学校の授業が楽しいと言う。

大学の教授は、自分の専門のことでも分からないことだらけという姿勢で話してくれる。これが新鮮で嬉しいそうだ。
高校のときは、白か黒か、正か疑か、丸かバツか、そんなことばかりだったと言う。

大学の授業に幻滅する学生が多いなか、彼は大学ライフをうまくスタートしたようだ。

こんなことから、私は、私の授業風景と学生の反応を思い出しながら話した。

オリエンテーションは、「トミタワールドにようこそ。これから皆を見知らぬ世界に案内するよ」からはじまる。

最後の講義では、「いま皆さんはトミタ丸で太平洋のど真ん中に来ています。ここで船から飛び降りてください。そして、自分の信じる方向に泳いで行ってください。私も船から飛び降りたいが、泳げないので飛び込むことができません」で終わる。

期末感想文では、「そうか、トミタ丸は船だっのか。私は気球に乗って空高く飛んでいったような気がします」と書いた学生がいた。

こんなわけのわからない変な授業をしてたよ。
彼は、「面白いですね。こんな授業。うちの学校でも聞いてみたい」。

これから学校だそうだ。我ながらよく10年も続いたものだ。

ホリデーシーズンになった。

[コエビソウ]
[シクラメン]

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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