骨董品

幸田露伴筆「おほみそら」短歌扇面帖

冨田鋼一郎

おほみそら ちよろすのふる 日の光
てらさせたまへ ありとある 邦を

漢字交じりに読みくだすと、

大み空 千万(ちよろず)延ぶる 日の光
照らさせ給へ ありとある 邦を

御代を寿ぐ歌。国歌「君が代」を思い浮かべる。

漱石と同じ年の生まれだが、露伴はどこか近づきがたい。短編『太郎坊・次郎坊』は印象深い文章だった。和漢、古今の深い学識はどう養ったのだろうか。

露伴の恰好の紹介本は、小林勇著『蝸牛庵訪問記―露伴先生の晩年』。豊富なエピソードで露伴の素顔が紹介されている。露伴の懐に飛び込むことができた小林勇。世代の違う二人の人間的な付き合いの深さには圧倒される。

幸田露伴(こうだ ろはん1867-1947)

小説家。本名、成行(しげゆき)。別号、蝸牛庵。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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