冨田鋼一郎
この8月で父が亡くなってから7年。身辺雑詠短歌から4首。(遺歌文集「曳馬野の萩」より)
⭕️うららかに照れる冬日の背に温(ぬく)し
糸巻く妻に両手預けて
⭕️使いたる鉛筆まとめて削りおき
今日の終りの筆箱を閉ず
⭕️柿取りは身軽な妻が木に登り
見守る我が下で受け取る
⭕️首竦め髪を刈られている孫の
鏡で目が合いはにかみ笑う
同居して両親の老後をつぶさに見てきたので、これらの老いの日々は手に取るようにわかる。
ABOUT ME
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。
各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。
著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)