ミモザ
冨田鋼一郎
有秋小春
早朝のサンシャインビルのホールにウグイスの鳴き声が響きわたる。
⭕️鶯のそさうがましき初音哉 蕪村
もうすぐ、梅とウグイスの季節だ。
スタバのレジでの会話。
(私)「おはよう。えーと、あなたの名前はなんだっけ?」
(レジ)「もう、忘れちゃったんですか」
(私)「うん、忘れようとして、覚えられない」
(レジ)「何それ!覚えてくださいよ」
たわいのない会話で心の平衡を保つ。連日、戦争や地震災害の報道ばかり聞きすぎている。ささやかな防衛。
⭕️あたヽかくまたは寒くて風も吹き
雪もふりしが梅も咲きけり
(清水)比庵九十三
なんと、自由奔放な梅の絵だろう!
紅白の梅の花が咲き乱れている。
老いても、なお若々しいしなやかな精神を持ち続ける清水比庵(1883-1975)。歌、画、書の三芸に秀でた。
比庵最晩年の作品を見ていると見ていると、こちらの心までが伸びやかになり、深呼吸している自分に気づく。
ストレスの多い日々にはこういう比庵作品に浸りたくなる。
漱石『草枕』
「越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくいところをどれほどか、寛容て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。
ここに詩人という天職ができて、ここに画家という使命が降る。
あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊い」