日々思うこと

パラリンピック開幕(朝日8月29日夕刊)

冨田鋼一郎

久しぶりに詩的な報道記事に出会った
この記事で充分開会式を想像することができる

パリパラのメッセージは「パラドックス(逆説)」

パラリンピックとパラドックスの「パラ」が掛け言葉になっているのだろうか

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[パラ開会式のメッセージについて]

《偏見 越えたい》
《選手は社会変える「変革者」》

 「パラドックス(逆説)」

西日に照らされたコンコルド広場中央のステージ上に、パフォーマーが次々に上がった。

「社会は誰も取り残さないと言うインクルージョン(包摂)をうたいながらも、障害者への偏見が今なお残る(という逆説)」

その現実を突きつけ、障害者が置かれている立場を考えてもらいたいというメッセージが込められた。

参加したパフォーマーは約5百人、そのうち障害がある16人は、赤や水色などの鮮やかな衣装を身にまとい、独創的な振り付けで個性を表現する。変化にあらがう保守的な社会を示す黒いスーツ姿の140人とすれ違い、囲まれながらも、自由に動き回って踊りを披露した。

その後、参加者たちは夕日で赤く染まる凱旋門を背に、シャンゼリゼ通りを行進して広場へと向かった。

イスラエルの攻撃によってガザ地区の人狼危機が続くパレスチナ代表や、ロシアによる侵攻を受けるウクライナ代表が登場すると、ひときわ大きな拍手が起きた。

6競技に8選手が出場予定の難民選手団にも温かい歓声が寄せられた。最後に登場した開催国フランスの選手団は、「オー・シャンゼリゼ」の大合唱で歓迎された。

大会組織委員会のトニー・エスタンゲ会長は、コンコルド広場がフランス革命の舞台となったことを引き合いに出し、「アスリートが革命を起こす変革者」とあいさつ。選手たちの姿が、障害者への見方や社会を変えると訴えた。

約1千人のランナーでつながれた聖火は、4大会連続の金メダルが期待される陸上男子走り幅跳びのマルクス・レーム(ドイツ)らを経て、陸上女子短距離に出場するナンテナン・ケイタら5人のフランス選手の手で聖火台にともされた。気球に乗った聖火台は、パリの夜空へと浮かんだ。

その後、今度は障害の有無にかかわらずパフォーマーたちが一緒になって踊り、ショーはフィナーレへ。

色とりどりの花火が上がる中、3時間半を越すショーが幕を閉じた。組織委員会によると、シャンデリゼ通りを含めて約6万の観客が見守ったと言う。(藤野隆晃記者)

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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