冨田鋼一郎
6月なのに真夏日になった。
漱石句色紙「蓮切に」
⭕️蓮切に行つたげな縁に僧を待つ 漱石
朝、和尚さんに会いに出かけてきたが、あいにく裏の池に蓮を切りにでも行ってるようだ。縁側でしばらく帰りを待つことにしよう。
蓮とスイレンは違うが、漱石の蓮句を思い出す。漱石は寺の境内の風情を愛した。
明治40年の手帳に書き付けた蓮句12句の中の1つ。
蓮句連作の中には次の佳句もある。
⭕️ほのぼのと舟押し出すや蓮の中 漱石
参禅の場面をいれた小説『門』はこれから3年後だ。
ABOUT ME
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。
各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。
著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)