不完全な美
冨田鋼一郎
有秋小春
コロラド州の州都デンバーはマイルハイシティと言われる高地にある。海抜1600メートル。
ボールダー市はデンバーの北北西、ブルームフィールド市を経てロッキー山脈の中腹にある。
1973年の夏(もう50年前になる!)、2ヶ月間ここで過ごした。世界からアメリカの大学で学ぶ予定の若者がまずコロラド大学に集まり生活に慣れる。ルームメイトはナイジェリア大蔵省から派遣された人だった。
日本からも官庁、企業派遣の人たちが20名ほどいた。銀行証券も勢揃い、金融国際化の先兵たちだ。
キャンパスは爽やかな風が吹き渡る。白樺に似たスペード型のアスペンツリーの葉がサラサラと風に揺れる。ドミトリー、経済学部の教室、図書館を自転車。
レストランでは、コーンビーフを混ざった細かく刻んだポテトを揚げたhash brownsに初めて出会った。塩味が美味しかった。
Veilベイル、Aspenアスペンの冬の代表的なリゾート地も印象的だった。
ロッキー山脈の大陸分水嶺(Continental Divide)へのリトリートがあった。8月なのに雪が残っていた。温暖化問題など頭の片隅にもなかった。
私も昔話が多くなったと感じる。