シャワーのようにさまざまな話題を浴びると良いことがある。
冨田鋼一郎
有秋小春
同法案は過去20年にわたり、マサチュセッツ州選出の議員は党派を問わず、ずっと反対票を投じてきた。マサチュセッツの港湾、鉄道業界、ボストン沖仲仕組合が死活問題だと反対の急先鋒だったからだ。
38歳のJFKが再提出された議案に、スピーチライターのソレンセンに命じたことは、セントローレンス水路に関する客観的事実を集めて、そこから判断できることをまとめること。
分かったことは、
1.水路ができても噂されるような被害を与えないこと
2.水路は国家的利益から必要なこと
3.米国がこれ以上放置すれば、カナダが独力で水路を作ることが予想された
そこでソレンセンが指示されたことは、同法案賛成の演説原稿を用意することだった。
伝記によれば、選挙地盤の恨みを買ってまで賛成票を投ずる義務はなかったのに、「結果はともあれ、自分としてはやらなければならない」と決断し、本議会で賛成演説した。その後もっと厳しい選択を迫られる事案の試金石になったことは想像に難くない。
地元利益ではなく、国家利益を代弁することを決心するに至ったという意味だ。
地元利益の視点と国益の視点。同じ事案も視点を転ずると全く違ったものがみえてくる。
今でも同様なイシュウが山積だ。熟議が求められる所以である。議論を軽んじ、数で押し通すのは不毛の政治で、不幸になるのは国民だ。
このエピソードを現代にあてはめると、国益ではなく、一度立ち止まって地球益の視点で眺めてみること。理解を深めた上で政策をより良いものにしていけるだろう。
区益〈都益〈地方益〈国益〈アジア益〈地球益〈太陽系益〈銀河系益〈宇宙益
私はどの利益を一番大切にしたいのか?
いずれ「地球益」がなによりも最優先されるのが当たり前の時代がくる。