イギリスの新しいリーダーたちから見える3周遅れの日本
リシ・スナクイギリス首相、サディク・カーンロンドン市長、それにハムザ・ユーサフスコットランド国民党党首。
3人のバックグラウンドを見るだけで、宗教、人種、民族などどれだけイギリス社会の多様化が進んでいるか、目を見張る思いだ。
異質なものを受け入れるのはお荷物と思うが、結局は多様な人々が社会に活力をもたらしてくれる。
少子化問題の解決にも移民政策は避けて通れない。女性が輝く社会、少子化問題と移民政策とは互いに密接不可分だ。移民政策を棚に上げていて小手先の給付金ばら撒きを「異次元」というのであればそれは口先だけのもので、いつまで経っても効果はないだろう。
そのイギリスがこのほどTPP参加で合意。これはEU離脱で自国のアイデンティティが揺れるなか、これまで求めてきたヨーロッパ大陸との繋がりから全世界のなかのイギリスと位置付ける動きである。と言って昔の大英帝国に回帰するものでもない。腰を据えた大転換の未来のビジョンがあるのだろう。
世界は急激に変わっている。
リシ・スーナク(42)
与党・保守党の新たな党首に。移民二世。両親はともにインド系で、東アフリカからイギリスに移り住んだ。南アジア系イギリス人初の首相。宗教はヒンドゥー教。オックスフォード大学で「哲学、政治、経済(PPE)」専攻した。
サディク・カーン(53)
イギリス労働党の政治家でロンドン市長。EU加盟国の首都の市長に当選した初のイスラム教徒である。
ロンドンのパキスタン系イギリス人の労働者階級の家庭に生まれた移民二世。人権派弁護士としてキャリアを始めた。EU圏の首都において初のムスリム市長となった。
ハムザ・ユーサフ(37)
スコットランド国民党(SNP)は2023年3月27日、ハムザ・ユーサフ氏(37)を党員投票で選出した。同国で主要政党を率いる初のイスラム教徒となる。同氏はスコットランド自治政府の第一首相にも就任する。
レモンの小さな莟と道端の芥子。