「変わる刑務所」 朝日新聞グローブ 262号2022.9.4
冨田鋼一郎
有秋小春
下落合の牡丹寺です。
境内は牡丹の香りで包まれています。一週間ほど早いでしょうか、今が盛りです。
我が家より自転車で十分薬王院に
ぼたんの咲きて今が真盛り 修平
薬王院に色とりどりのぼたん咲く
大和長谷寺の末寺の宜に 修平
中空に日のとどまれる牡丹かな 風生
虹を吐てひらかんとする牡丹哉 蕪村
山蟻のあからさま也白牡丹 蕪村
白牡丹いふといへども紅ほのか 虚子
うつむけに春うちあけて藤の花 蕪村
けふのみの春を歩ひて仕舞けり 蕪村
豊かな藤の花房がまるで上から下へ春のすべてをぶちまけるように咲いている。藤の花で春は全部おしまい。
季語:藤(春)、牡丹(夏)
風生の句碑には純白の石楠花が寄り添っています。
地面にはたくさんのホースが張り巡らされています。見事な牡丹園は、年間通した丹精込めた世話のおかげです。