桑山紀彦さんのこと
冨田鋼一郎
有秋小春
最近、原発関連記事や番組が目に留まるようになった。これまでは、理解を超える、知りたくない、見たくない、もう過去のことだと自分を無理やり納得させて、忘れたがっていたと思う。
プルトニウム、ベント、デブリ、プルサーマル、セシウム137、ストロンチウム90、トリチウム、 ALPSなどなど恐ろしげなカタカナが並ぶ。
しかし、身近に迫る処理水海洋放出、汚染土壌処理、使用済み核燃料の処理など永遠に悩まされる事柄だから、誰も逃れる事ができない。
そんな中、『チェルノブイリの祈り 未来の物語』スベトラーナ・アレクシェービッチ(1948- )をようやく手に取る気になった。ドキュメンタリー文学の最高傑作といわれる。
まだ、第二章だが、過酷な現実に突然直面した人々の取材から何を受け取るか、読者の想像力が問われている。
21世紀とはこういう世界に生きることか。フクシマを重ねて、頭がクラクラしてくる。こんな時には漱石さんと会話したい。
秋の講演『21世紀に生きる意味』の準備を始めている。この話題は避けることができない。今のうちにしっかり考えて、発酵させる。一夜漬けでは講演できない。