骨董品

白隠禅師筆「松猿図」自画賛

冨田鋼一郎

きかざるも
隻手は
あるよ
郭公

空を飛ぶホトトギスが、松の枝に座って両手で耳を澄まして聞こうとしている猿を見て、禅の公案「隻手声あり、その声を聞け」に挑んでみたらと促す。片手でならしている声を聞くという難題だ。「きかざる」は、「聞かざる」と「きか猿」を掛けている。

白隠は、このようなユーモアあふれる親しみのある禅画を多く描いたので、人々は白隠の書画を珍重した。

白隠慧鶴(はくいん えかく1686-1769)

江戸中期の禅僧で、臨済宗中興の祖と称される。

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冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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