江雪宋立筆「寒鴉枯木」自画賛幅
冨田鋼一郎
有秋小春
印:「号四明」(白文方印)
絹本墨画着色
色彩豊かな春景。遠景の丘はなだらかで、中景に竹林と小さな滝、近景には二もとの満開の梅と東屋。
竹林が左肩下がりに傾斜して、滝から渓流へとS字型に蛇行している。見え隠れする渓流が画面に奥行をもたらした。
岩や山肌、草木には生き生きした点苔(てんたい)が施されて、小さな画面だが、ひとつひとつが圧倒的な存在感を主張している。
頂き近くのこんな高い場所に平地がみえる。何だろう。
手前の岸辺の梅の木の根元に注目。地面から露出した白い根はしっかりと地面に食い込んでいて、足元にも「命が凝縮」している。
以下蕪村梅の4句。
こちの梅も隣のうめも咲きにけり
梅遠近(おちこち)南(みんなみ)すべく北すべく
二もとのむめに遅速(ちそく)を愛すかな
野辺の梅白くも赤くもあらぬ哉