骨董品

松永貞徳筆「和歌四首」懐紙(細川玄旨加筆)

冨田鋼一郎

慶長八 十 二十五       頌遊上
●まつ人もこぬ夜しられて明わたる
  霜に銘なきうちのはし姫
        首尾珍重也
 うちいでし波ハ氷に見わたして
        柴ハし也
  霜の花ふむ谷の俤
●池水をたち行をしも澄月に
  こほりの外の床やなからん
        行→鳥也
●おしむべき山のあなたもなきうミの
  浪にもをそき月の影哉
       山のあなたもとあるは無之此影うたひし也

慶長8年(1603年)関ヶ原の戦い当時の筆。
貞徳は貞門俳諧の祖。
左端「山の・・」ではじまる2行が細川玄旨(幽斎)の加筆。

松永貞徳 (まつなが-ていとく1571-1654)

織豊-江戸時代前期の俳人、国学者。里村紹巴、細川幽斎に和歌、連歌をまなぶ。20歳ごろ豊臣秀吉の右筆となったが、関ケ原の戦い後は私塾で和歌や俳諧を指導した。名は勝熊。別号に長頭丸(ちょうずまる)、逍遊軒、延陀丸(えんだまる)、明心など。

細川 幽斎(ほそかわ ゆうさい 1534‐1610)

別名、細川 藤孝(ほそかわ ふじたか)。雅号は幽斎玄旨。当代一流の文化人。

スポンサーリンク

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
記事URLをコピーしました