骨董品

西村定雅 四季四句自画賛 断簡

冨田鋼一郎

  山かげやかくて何処まで春の水
  涼しさや千鳥の声は夏のもの
  きくの華人の作らぬ匂ひ哉
  白雪の中にも身過ぎ世すぎ哉
      定雅 印

これら四句は、取り立てて優れた句とはいえない。が、軸一つを掛けて置くだけで自然の移ろいだけでなく蕪村周辺の息吹も感じることができる。
江戸中期、まだ時間の流れと生活のリズムとマッチしていた。

西村定雅 (にしむらていが1744-1827)

江戸中後期の俳人。蕪村門の几董・百池・月居らや、暁台門の樗良らと親交をむすぶ。

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冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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