骨董品

紹巴ほか里村家発句断簡幅

冨田鋼一郎
H22.3 x W61.3 (cm)

 於一乗院 九月十六日
ならの葉のうらうへ見する嵐哉 玄仍
くるる軒端に月うつる空揚?
遠山ハ時雨し秋の雲清く 紹巴
 金○ 十七日
廓の音も妻を忍ぶのみたれ哉 同
 宗興 十八日
松に花さくや葉こしの筆の庭 紹巴
 玄左 二十日
音さへも色々なれやみ山風 同
みるみる秋の時雨ふる空 玄左
むら雲に月の光のかた分て 玄仍
 於大乗院
山々の○葉を池な堤かな 同
扇あくれハ霧心なしニ定菊 
月代ハほのかなりしも影すミて 玄仍
 宋治所望
さほ山や河霧しつむ紅葉哉 
 今度於南都之発句等
慶長四年九月二十四日 玄仍筆

里村紹巴(さとむらじょうは1525-1602)

戦国時代の連歌師。里村姓は後世の呼称であり、本姓は松井氏ともいわれる。号は臨江斎・宝珠庵。長男に里村玄仍、次男に里村玄仲、娘婿に里村昌叱。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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