東ドイツ記念通貨5マルク白銅 未使用フォン・シル生誕200年記念
冨田鋼一郎
有秋小春
米元章移石図
湖南九老写 印「梅亭」
髭をつけた士大夫らしき人物の脇に書物らしきものを背負った付き人。
そのそばで大きな石を抱える庭師らしき屈強な人物3人。石を運ばせて自分好みの庭作りに励んでいるのだろうか。
動きが感じられるほど生き生きしていて、その軽妙洒脱な筆意は、師匠の蕪村ゆずりである。
本図の来歴は、中国の米元章の詩からであるが、エピソード詳細は不詳。
米元章が湖北の人であったから、落款はあえて梅亭とせず、対比する意味で、琵琶湖の南、大津に住むことからつけた号、湖南九老を使ったもの。
中国の北宋末の文学者・書家・画家・収蔵家・鑑賞家。字は元章、官職によって南宮、住拠によって海岳。子の米友仁に対して大米と呼ぶ。
梅亭は紀氏。晩年の別号は湖南九老。京の人。はじめ岩城藍田の学僕であったが、蕪村門に転じ、月渓とともに少ない内弟子の一人となった。画をよくし、大津蕪村と呼ばれた。自分の代句を蕪村に頼んだりしている。
相弟子月渓が途中から師風を棄てて写生の四条派を創めたが、梅亭はあくまで気骨ある師風を守りぬいた。だから俳画も蕪村そっくりのものを多く残している。