冨田鋼一郎
季語:蚊(夏)
真夏の昼時。暑さしのぎに松風が吹いてこないかと念じていたら、蚊の音が聞こえてきたことよ。蚊のかすかな音が聞こえるほど、風のないじっとりとした湿気さえ感じる。
蚊の音といえば、蕪村の有名な句を思い出す。やはり蕪村の勝ちですね。
葛三没後に刊行された『葛三句集』夏の部に、「松風を念じて居れば啼蚊かな」の句形で収載されている。
江戸時代中期-後期の虎杖俳人。郷里の信濃で宮本(こじょう)にまなぶ。江戸にでて加舎白雄の門にはいり、常世田長翠の春秋庵をつぐ。晩年は相模大磯の鴫立庵にすんだ。
ABOUT ME
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。
各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。
著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)