冨田鋼一郎
夏草や兵どものゆめのあと
はせを翁の句
月渓書 印
芭蕉の紀行「おくのほそ道」平泉での有名な俳句を呉春が認めたもの。呉春の生きた江戸中後期、幕府による統一が進み、戦のない天下泰平の世の中になり、弓矢を持つ厳めしい甲冑の侍姿は過去のものになりつつあった。戦乱の野原をつわものたちが駆け巡ったあとは夏草に覆われてしまい、まさに「ゆめのあと」になってしまった。呉春によるこの侍は勇ましい印象からほど遠く、どこかユーモラスにさえ感じる。
ABOUT ME
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。
各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。
著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)