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作品・本・人物紹介

蕪村「奥羽行旅図」(8図)のうちさか田

冨田鋼一郎
[蕪村「奥羽行旅図」のうち「津軽藩青もり」部分]

蕪村の燕が280年も飛び続けている

奥羽を巡ったのは、寛保三年(1743)、蕪村28歳、結城にいた時のこと

山形、酒田、秋田、能代、青森、八戸、松島、仙台と時計回りに回った

☆☆☆
蕪村「燕」句

ふためいて金の間を出る燕かな 

細き身を子に寄り添ふる燕哉 

花に啼く声としもなき乙鳥哉 

大津絵に糞落としゆく燕かな 

わりなしやつばめ巣つくる塔の前 

@@@@
蕪村「鶯」句

鶯の枝ふみはづす初音かな

うら道を来て鶯の初音かな

鶯のささうがましき初音哉

古庭に鶯啼きぬ日もすがら

鶯の声遠き日も暮れにけり

うぐひすのあちこちとするや小家がち

鶯を雀歟と見しそれも春

留守もりて鶯遠く聞く日かな

鶯に終日遠し畑の人

うぐひすや家内揃うて飯時分

鶯の啼くや小さき口明ィて

春もやヽやあなうぐひすよむかし声

撞木町うぐひす西に飛び去りぬ

家にあらで鶯きかぬひと日哉

芭蕉句
松島 島々や千々に砕けて夏の海
うぐひすや竹の子藪に老を鳴
うぐひすにほろりと笹の氷かな

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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