骨董品

岩間乙二筆「雀」四季句幅

冨田鋼一郎

雀子(春)    雀子や家のうしろハあさぢ原
かたばみ(夏)  かたばみのはな雨ふると啼すゞめ
月(秋)     さす月の寝どころやすき雀哉
冬雀(冬)    朝茶のむうちハ居よかし冬すゞめ
             松窓乙二 朱文方印

春「雀子」以外の句は、「松窓乙二句集」に所収。

「茶摘み」は春の季語なのに対して、「新茶」は夏の季語である

雀は年中見かけるため、季語ではない。雀を題材にして作ってきた四季の句を並べたものだが、これはこれである種の風情が感じられる。

現代の俳人は、このような趣向のある楽しみ方を忘れてしまった気がする。

岩間乙二(いわまおつに1756-1823)

江戸後期の俳人。陸奥白石の千手院住職。号松窓(しょうそう)。巣兆・鈴木道彦と交わる。俳風は東北の風土の特色をよく表し重厚温和である。奥羽の四雄と称せられた。

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冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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