彭城百川筆「かささぎ」自画賛幅
冨田鋼一郎
有秋小春
雀子(春) 雀子や家のうしろハあさぢ原
かたばみ(夏) かたばみのはな雨ふると啼すゞめ
月(秋) さす月の寝どころやすき雀哉
冬雀(冬) 朝茶のむうちハ居よかし冬すゞめ
松窓乙二 朱文方印
春「雀子」以外の句は、「松窓乙二句集」に所収。
「茶摘み」は春の季語なのに対して、「新茶」は夏の季語である。
雀は年中見かけるため、季語ではない。雀を題材にして作ってきた四季の句を並べたものだが、これはこれである種の風情が感じられる。
現代の俳人は、このような趣向のある楽しみ方を忘れてしまった気がする。
江戸後期の俳人。陸奥白石の千手院住職。号松窓(しょうそう)。巣兆・鈴木道彦と交わる。俳風は東北の風土の特色をよく表し重厚温和である。奥羽の四雄と称せられた。