読書逍遥

第91回『ギリシャ人ピュテアスの大航海』ハリー・カンリフ

冨田鋼一郎

『ギリシャ人ピュテアスの大航海』ハリー・カンリフ

副題: 史上初めて北極へ旅した男
2023年6月刊行

大航海とあるので、16世紀の大航海時代の話かと思ったら、なんとはるか前の紀元前4世紀ギリシャ人[マッサリア(現マルセイユ)出身]による北極探検の話だった。

ユリウス・カエサルによるブリテン島探検は、その300年後の紀元前55年。

当時のギリシャ人の世界観は、見慣れた地中海から出ることはなかった。彼らの良く知っている地域は、地中海、黒海周辺、エジプトとメソポタミア河川だけ。

地中海世界は、自然の障壁であるバルカン山脈、アルプス山脈、セベンヌ山地(仏中央)、メセタ高原(イベリア半島)に囲まれて、その彼方にはギリシャ人よりはるかに遅れた文化を持たない野蛮人がいる。ギリシャ語を話せず、動物の鳴き声に似た音声で意思を伝達した(バルバドイ)。

ギリシャ人にとって世界の果てはアトラス山脈。ヘーラクレースの柱(ジブラルタル海峡)以遠は何も知らない。

[ツユクサ]
[ヒルガオ]

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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