骨董品

松村呉春(月渓) 「蕪村初午句」画賛断簡

冨田鋼一郎

 初午やその家々の袖だたみ
       夜半翁
         月渓書

初午詣でには、どこの家でも身なりを、整えて出掛ける。
どの衣裳にも、それぞれの家なりの勝手な流儀による袖畳みの跡がついていて、いかにも庶民の祭りらしく微笑ましい。

蕪村は面白いところに目を留めた。年が明けて初めての大きな行事の初午。心浮き立つ気持ちをさまざまな袖畳み跡に見つけた。
それにしても、このイノシシのような動物は何だろう。

初午(はつうま):初春
二月の最初の午の日に行われる稲荷神社の祭礼。京都深草の伏見稲荷をはじめ大阪の玉造や各地の稲荷神社で盛大に行われる。稲荷信仰はもともと農事の神の信仰で、初午はその年の五穀豊穣を願うものであった。農家は稲荷社にお神酒や油揚げ、初午団子を供えたりした。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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