骨董品

若き蕪村の小品「春景山水図」

冨田鋼一郎
H20.3 x W12.6 (cm)

墨画着色絹本
印「号四明」(白文方印)

署名はないが、印章から結城下館時代の蕪村が漢画修業中に描いたものと判明する。

竹林を左下がりに傾斜させ、渓流がS字型の曲線を描いて東屋の脇を抜けて川に合流する。
見え隠れする渓流が画面に奥行きを与えて、広大な画面に緊密な一体感をもたらした。
小品ながら少しも窮屈さを感じさせない。

修業中とはいえ本当に楽しみながら絵筆を手にしていたことが感じられる。

ここに蕪村の梅の句をいくつか。

こちの梅も隣のうめも咲にけり二もとの梅に遅速を愛すかな
散たびに老ゆく梅の木末かな

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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