骨董品

小林勇筆「紅鮭」幅

冨田鋼一郎
H128.0 x W34.5 (cm)

今宵対娯残歳
明日逢人説去年
  丁未尽日 冬青 印
(自箱)
表面 「冬青筆 紅鮭」
裏面 
「露伴先生に句あり
塩鮭のあぎと風吹く寒さ哉
戊甲四月 冬青勇 印」

外では冷たい雨が降る大晦日の宵。残り少なくなった今年の時をひとり楽しむ。
明日の元旦には人に会い、過ぎし年を語り合って振り返ることだろう。

小林勇が昭和42年に描く。翌年四月に表装、箱を作る。
長く謦咳に接した幸田露伴との思い出がよぎる。小樽隣り町の余市にこの露伴の句碑がある。

小林勇の画集「絵筆をもって」に、鮭のエピソードがある。

小林勇(こばやしいさむ1903-1981)

大正・昭和時代の出版人。大正9年岩波書店に入社。岩波茂雄に信頼され、娘婿となる。書画をたしなみ,「蝸牛庵訪問記」などの随筆でも知られる。号は冬青。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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