蕪村(謝長庚) 筆 紙本墨画着色
冨田鋼一郎
有秋小春
觜(くち)とあしミそきにそゝけ都鳥 月居
季語:禊(みそぎ)(夏)
禊祓:大祓。古来、6月と12月の晦(つごもり)に、親王以下在京の百官を朱雀門前の広場に集めて、万民の罪や穢れを祓った神事。現在も宮中を初め全国各神社で行われる。みそぎはらえ、おおはらい。
大川の都鳥よ。おまえたちも大祓の今日、くちばしと足をお祓いして、穢れを洗ってさっぱりしてはどうか。
伊勢物語の隅田川の都鳥を踏まえた句であろう。本文に「觜と足とあかき」と出てくる。
江戸中・後期の俳人。京都生。名は師心、国学は荒木田久老・村田春門に学び、俳諧は与謝蕪村門の高弟で高井几董と共に蕪村門の双璧と称された。寛政二年(1790)二条家雪月花の会に加藤暁台・井上士朗と共に銅駝御殿に召され、百韻の連句を興行した一人。東の道彦・中京の士朗と共に時の三大家と称された。著書に『夜あかし』がある。