骨董品

蓑笠庵梨一短冊賛 3俳人図

冨田鋼一郎
H97.7 x W38.2 (cm) 本紙
H35.5 x W6.0 (cm) 短冊

(前書き不詳)
又やがてあふいの車見に登れ 梨一

季語:葵祭(夏)

3俳人図の作者は、落款があるも不明。
中央は芭蕉翁。そばに門人二人が翁を囲んでいる。
「また、ぜひ機会をみつけて、都へあがり、葵祭りの牛車を見にお越し下さい・・」前書きが読み取れていないため、翁が誰かに向かって発したことばなのか、翁へのはなむけのことばなのか、はっきりしないのが憾みである。

京都下賀茂神社および上賀茂神社の祭り。当日、冠や牛車(ぎっしゃ)、桟敷の御簾などと葵蔓で飾ったからいう。
祭礼は、昔は陰暦4月の中の酉の日、今は5月15日。斉王時代・勅使らが行列して御所から下賀茂、上賀茂とめぐり、祭典・東遊・走馬の儀がある。
古来、祭といえば葵祭りを意味した、三勅祭の一。賀茂祭。北祭。

蓑笠庵高橋梨一(さりゅうあんたかはしりいち1714-1783)

「奥細道菅菰抄」は、中興期のすぐれた芭蕉研究家である蓑笠庵梨一によって書かれた。自序によれば、『おくのほそ道』の註解を志し、四十までに芭蕉の足跡をほぼ踏査、六十に至って越前の丸岡に隠退して、その後十年を経て本書を完成したとある。以後の『おくのほそ道』の注釈で、本書に拠らぬものはないほどである。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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