骨董品

立花北枝筆「鶯に」句短冊幅

冨田鋼一郎

鶯にほぐるゝ笹の氷かな 北枝

厳しかった金沢の冬も、ようやくウグイスの鳴き声が聞こえる季節になってきた。笹の葉に凍り付いていた氷も、春を告げるウグイスのやさしい鳴き声に解(ほぐ)れてきたようだ。北国の春到来を待ちわびる人々のよろこびが伝わってくる。変わらぬ四季のめぐりの豊かさをこのように表現できること、文芸としての俳句の力を実感する。

立花北枝(たちばなほくし ?⁻1718)

江戸前・中期の俳人・研刀師。加賀小松生。別号に鳥翠台・寿妖軒・趙子など。兄牧童も俳人。俳諧は初め貞門に遊び、のち『おくのほそ道』の旅で金沢に来訪した芭蕉に入門。芭蕉の教えをかきとめた『山中問答』を著した。享年未詳。

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冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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