骨董品

松村呉春筆芭蕉句「六月や」短冊幅 松村景文添画付き

冨田鋼一郎
H121.0 x W17.4 (cm) 本紙
H36.0 x W6.0 (cm) 短冊

六月や峯に雲置あらし山 はせを翁の作 月渓書

季語:六月(夏)
梅雨が去ると、京都には炎天の六月、燃え立つような猛暑の季節がやってくる。

嵯峨野の落柿舎から見える深緑鬱蒼たる嵐山には雄大な純白の入道雲がどっかりと居座っている。万象寂として静まり返っている。実に力強い句である。

芭蕉元禄七年(1694)最晩年五十一歳の作。
画人呉春は、自句でなく、師蕪村や芭蕉の句や、徒然草や謡曲の言葉を賛に使ったものが多い。日頃から古典に親しんでいたことがわかる。呉春の流麗で独特な癖のある字体がそのまま装飾になっている。

嵐山を詠んだ芭蕉の句をもうひとつ

嵐山薮の茂りや風の筋 芭蕉

松村呉春(まつむら ごしゅん1752-1811)

江戸中期の絵師。

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冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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