骨董品

各務支考筆陸夜あて書簡(宝永五年推定)

冨田鋼一郎

陸夜様 支考
尚々さして御用無之候ハゞ
 今日者高田へ御越不被成候由
今より御越あれかし
 公用といひながらきの毒
あたら一日つぶれ申事ニ候
 千万明日又一日のつぶれ
 と大工の日数かぞへ申候。
 九耳事御見舞ハ却而
 遠慮とて書状参候間
 御断、我等よりと被頼候。
 夕食後何とぞはやく
 御越まち入候。一歌仙
 いたし度候。御連中
 御隙次第五三人斗
 御さそひ御尤ニ候。多人数ハ
 座敷喰物等やかましく
 存候
  二一日

宛先の陸夜と差出人の支考のサインは右下に見える。
「歌仙を巻きたいから隙な人を誘い合わせて、ぜひこれからお越しください。お待ち申しております。」
今なら、携帯で済ます内容だ。300年前の書簡が残って、支考は苦笑しているだろう。

各務支考(かがみ しこう1665-1731)

江戸中期の俳人。蕉門十哲の一。別号、東華坊・西華坊・獅子庵など。変名、蓮二坊。美濃生まれ。芭蕉没後は平俗な美濃風を開いた。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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