骨董品

松村呉春筆四季句自画賛幅

冨田鋼一郎
H101.0 x W40.0 (cm) 絹本

 (春)
うぐひすにたは事始たる柳かな
やぶ入やおはぐろの出ぬ春さむき
神の梅烏帽子に似たるあられかな
燈ともして夜にする春のゆふべ哉
下戸ならぬ恥かさなりてゆく春や
 (夏)
めし時に家鴨(あひる)ももどる田うえかな
雨雲にめぐりもあはで夏の月
ゆふだちや音あらがねのつちくさき
 (秋)
おどりこに露ぞおくなり天の川
稲の葉の青かりしより案山子かな
うぐひすもそと来てゐるや菊の宿
 (冬)
おしどりや色どりすぎてむねふくれ
ゆきにあとつけてもどるや年わすれ
             月渓 印「呉春」

自身の春5句、夏3句、秋3句、冬2句に画を添えて一幅の軸に仕立てたもの。

なかでも、「めし時に」「稲の葉の」「雪にあと」などは自慢の句だったと思われ、短冊や軸ものでいくつか遺されている。画人だけに、添えられた「月」「雀」「案山子」「老人」などの画は揺るぎのない絵である。

四季折々の句で季節の移り変わりをあしらって、この軸一本で年間を通じて楽しめる。同様のものは、柿衞文庫の「十二か月風物句画賛」がある。

松村呉春(まつむら ごしゅん1752-1811)

江戸中期の画家。尾張の人。号月渓。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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