骨董品

尾崎紅葉筆「少年行」扇面幅

冨田鋼一郎

少年行
酔ひつれて
雪駄鳴らすや
 まつの内 
    紅葉 印

通りからは、バンカラの鳴らす下駄だけでなく、羽子板の羽のカンカンという音が聞こえてくる。松の内の風情にふさわしい。「羽子板の羽」が宙に舞っている絵の作者は、梶田半古。

『紅葉句集』には「少年行 酔つれて雪駄鳴らすや松の内」で所収。

明治の大学生は、将来を約束された特権階級。新年松の内、皆が新たな年を静かに祝う最中に、酒に酔った学生たちが雪駄を鳴らしながら練り歩く。きっとマントなどを羽織っていたのだろう。バンカラ 無礼講。実に騒々しい。当時は多少の無礼は多目に見てもらえた。自分が若かりし時を懐かしんでこの句を詠んだのだろう。

尾崎紅葉(おざきこうよう1867-1903)

小説家。名は徳太郎。号は「縁山」「半可通人」「十千万堂」「花紅治史」など。物語の巧みさと艶麗な文章で、圧倒的人気を獲得、泉鏡花・小栗風葉・柳川春葉・徳田秋声らの逸材を出した。作「多情多恨」「金色夜叉」など。

梶田半古(かじたはんこ1870-1917)

明治大正期の日本画家。

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冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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