日々思うこと

スタバのお店

冨田鋼一郎

スタバのお店はすっかりホリデーシーズンに衣替え。

突き抜けるような青空、小春日和(冬の季語)だ。

◯日向ぼこ日向が嫌になりにけり 万太郎

クリスマスソングの流れるスタバでは、スタッフは揃いの赤いTシャツで出迎えてくれる。平和な空間だ。

「知識とは、それを誰かに渡しても自分が貧しくならない財産である」

詩人レッシングの言葉を書き留めた。

「人間の価値は、その人物が所有している真理、あるいは所有していると思い込んでいる真理によって決まるのではない。

そうではなく、真理に到達するためになされる誠実な努力こそが、人間の価値を決めるのである。

人間を道徳的に向上させる力は、所有することではなく、真理を追い求めることで増大する。所有は人を怠情で傲慢で不安定にする。

もし神が、右手にあらゆる真理を握りしめ、左手には真理への飽くことなき欲求だけを握りしめて、こう言ってきたとしよう。

「どちらかを選べ!」常に永遠に間違い続ける危険を冒そうとも、私は左手の方へ恭しく腰をかがめ、そして言うだろう。

主よ。この手の中身を与えたまえ!絶対的な真実とはただあなたのためだけにあるのだから」

ふだん役に立たないと言われる古典が、極めて役に立つ道具である。

所有や利潤が、愛や真理を窒息させる一方で、いかなる実利主義にも縛られない探求は、人間をより自由に、より寛容に、より人間らしくしてくれる。

☆☆☆

何の役にも立たないこのような無為な時間こそ至福な時間だと思う。

スタバのスタッフに後ろ向きになってもらって撮ったTシャツ。

ハッピー ホリデー シーズンズ!

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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