油絵

板絵「メイドキャップをかぶる少女」作者不明

冨田鋼一郎
縦44.0cm x 横39.0cm

1984年、当時のロサンゼルスは五輪に沸いていた。

ビバリーヒルズメルローズ通りの場末で、老夫婦による小さなアンティークショップが閉店セールをしていたのに出会った。

壁にやたらと雑多な油絵が掛かっていた。油絵など手にしたことがなかったが、この少女の目に惹きつけられてしまった。

キャップはふわふわした髪の上に乗っかって、そして、頭は健康そうな体躯に自然におさまっている。正面のこちらを向いていないので落ち着く。

個人宅に住み込みで働く少女だろう。油絵は、おそらくヨーロッパ大陸で19世紀中・後半に描かれて、巡り巡ってここに運ばれてきたものと思われる。

作者のサインはないが、描き方に無理なところがないことに画家の力量を感じた。

‘Stealing price!’ 。老店主の吐き捨てるような声だけ耳に残る。

以来、38年にわたって食堂を飾っている。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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