日々思うこと

若者らに広がる「エコ不安」の記事(7月4日朝日夕刊)に思う

冨田鋼一郎

記事小見出しにも、
「環境問題に悩み気持ちが沈む」、
「趣味もゴミ出るで、罪悪感で夜も眠れず」、
「重度だと不眠・うつ WHOも対策必要」とある。

気候に関する不安は、世界中の若者らに蔓延している。容易ならざる事態だ。

ALPS処理水の海洋放出開始が心を痛める。
我が国のリーダーだった人が国際社会に向かって’under control’とうそぶいたことも罪悪感としてのしかかる。

生まれてくる子どもは環境負荷が特に大きいので、自分の産む子どもを減らしたいという若者が増えている。3人より2人に、2人より1人に、あるいは子どもを持たない選択もある。これも少子化拍車に影響を及ぼす。

地球環境の危機意識は、高齢者よりも若者たちにはるかに重圧となってのしかかっている。

すっかり定着したようにみえるSDG’sの掛け声も、この「エコ不安」に拍車をかけていると思う。

‘sustainable’という言葉が問題だ。「維持できる」「耐えうる」「持ちこたえられる」を意味する。

「ここまでは大丈夫ですよ」とは、「これを越えてはいけません」と同義。このような消極的な言葉は、人の行動を著しく抑制し、落ち込み、悲しみ、あきらめ、無力感、罪悪感をもたらす要因となる。

もっと環境問題に前向きに取り組める言葉はないものだろうか。

気兼ねなくのびのびとしたいことができるのが、若者の特権であるはずだ。

「地球は有限」を意識して生きざるをえない。今は世界観が大きく変わっていく最中だ。どこに向かって行くのだろう?

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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