日々思うこと

中世の世界地図

冨田鋼一郎

これは1507年ドイツの世界地図。アメリカと名付けられた西大西洋の大陸、また、インド洋が南回りで行けることも示している。このふたつは当時の最新の大発見情報だ。

コロンブス、バスコダ・ガマの快挙から20年も経ていないのに広く知られるようになった当時の知識人の世界観を示す貴重なもの。

世界の果ては未知なために、想像の神、動植物、模様で埋め尽くされている。空白を残すことは知らないことと同義で、きっと不安を覚えたのだ。

自分は知らなくとも、この世を作りたもうた全能の神は全てをご存知なはずだ。神の知る世界を想像して描き尽くした。

自分の「無知」を受け入れるようになることと、空白のある世界地図が登場すること、そして、近代科学の発展は、その後しばらくしてからだ。

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ABOUT ME
冨田鋼一郎
冨田鋼一郎
文芸・文化・教育研究家
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。

各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。

著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)
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