冨田鋼一郎
浴衣姿の若い女が荷を頭にのせて歩く後姿。薪や炭を売り歩いた大原女を思わせる。
茣蓙に乗せた風呂敷に何が入っているのだろう。
浴衣地の模様や裾をそっとつまんだ左手やくったくのない自然な足運びから若いしなやかな肢体を感じさせる。
江戸後期、京の街中このような姿をよく見られたのであろう。どんな美人なのかと確かめてみたくなる。
師呉春の趣きをしっかりと受継いだ弟子による妙品である。ヤケがきついのが残念。
江戸時代後期の日本画家。日本画の一派「四条派」の祖「呉春(松村月渓)」の異母末弟にして弟子で、早くから呉春について学んだ。
ABOUT ME
日本の金融機関勤務後、10年間「学ぶこと、働くこと、生きること」についての講義で大学の教壇に立つ。
各地で「社会と自分」に関するテーマやライフワークの「夏目漱石」「俳諧」「渡辺崋山」などの講演活動を行う。
著書
『偉大なる美しい誤解 漱石に学ぶ生き方のヒント』(郁朋社2018)
『蕪村と崋山 小春に遊ぶ蝶たち』(郁朋社2019)
『四明から蕪村へ』(郁朋社2021)
『論考】蕪村・月居 師弟合作「紫陽花図」について』(Kindle)
『花影東に〜蕪村絵画「渡月橋図」の謎に迫る』(Kindle)
『真の大丈夫 私にとっての漱石さん』(Kindle)
『渡辺崋山 淡彩紀行『目黒詣』』(Kindle)
『夢ハ何々(なぞなぞ)』(Kindle)
『新説 「蕪」とはなにか』(Kindle)
『漱石さんの見る21世紀』(Kindle)
『徹底鑑賞『吾輩は猫である』』(Kindle)
『漱石さんにみる良い師、良い友とは』(Kindle)
『漱石さん詞華集(アンソロジー)』(Kindle)
『曳馬野(ひくまの)の萩』(Kindle)